本記事では、AI(機械学習)やサーバーサイド/バックエンド言語として活躍しているプログラミング言語「Python」について解説します。
「Python」を扱うサーバーサイド/バックエンドエンジニアあるいはデータサイエンティストなどの新卒・中途採用が増え、市場に合わせ雇用状況も変化が著しいです。
PYPL(プログラミング言語ランキング)などで急上昇から1位を獲得した「Python」ですが、これまで普及した要素を含め、特徴やできることをまとめています。
- Pythonは記述性・可読性に優れたプログラミング言語
- Pythonの特徴は、「シンプルコード設計」「オブジェクト指向言語」「スクリプト言語」「ライブラリの豊富さ」
- Pythonにできることは、「Webアプリ開発」「データ分析・解析」「機械学習・AI」「組み込み・IoT開発」「ブロックチェーン開発」
- おすすめのPythonフレームワークは、「Django」「Flask」「Bottle」「Tornado」「web2Py」
- 需要が高く求人増加中のため、将来性と安定が見込める
- Pythonを習得するおすすめのプログラミング学習方法は「Udemy」
- SIer/Web系企業での実務経験があるフリーランスエンジニア
- プログラミングスクールでの講師実績あり
- HR領域によるエンジニア特化の採用代行を業務委託で兼務
Pythonとは?
Pythonは、1991年に開発されたプログラミング言語です。
誰が書いても同じ書き方にできるようコード設計されており、記述性・可読性に優れた言語です。
また、専門的なライブラリが豊富なことから、現在ではAI領域までカバーするプログラミング言語として有名になりました。
Pythonの特徴とは?
Pythonの特徴は、主に以下の4つです。
- シンプルなコード設計
- オブジェクト指向言語
- スクリプト言語
- ライブラリの豊富さ
シンプルなコード設計
記述性・可読性の高いコードがPythonの魅力!
「Python」が開発現場で選ばれる理由は、シンプルがゆえにコードの記述性と可読性が高い点です。
最も簡単な「Hello, World!」の出力結果をC言語とRubyで比較します。
▼C言語の場合
#include <stdio.h>
main()
{
printf("Hello World");
}
▼Pythonの場合
print("Hello World")
上記のように、最も簡単な出力内容であってもプログラミング言語の選択によって学習難易度や、コード行数が変化します。
Pythonはプログラミング言語の中でも習得しやすく書きやすさ・読みやすさに特化しています。
オブジェクト指向言語
Pythonはオブジェクト単位でプログラムできる!
プログラムにおいてオブジェクト指向言語のメリットは、アプリ開発時に分業しやすい点です。
オブジェクト単位で開発するため、機能ごとにチームメンバーと分担作業ができます。
また、オブジェクト指向言語はコードの修正箇所が減ります。
これもオブジェクト単位で開発するため、バグ/エラー発生時に特定箇所のみを修正すれば回収できます。
特に大規模システム/アプリ開発で効果を発揮します。
スクリプト言語
実行プロセス短縮がスクリプト言語のメリット!
Pythonはコンパイルせずに実行する「スクリプト言語」です。
コンパイルはPC(機械)が読む機械語に翻訳する工程です。
Pythonは、プログラム実行と同時にコードを翻訳するため、すぐに動作確認できます。
また、スクリプト言語は比較的に習得難易度が低い言語になります。
同じスクリプト言語であれば、Ruby/PHPなどが相当します。
ライブラリの豊富さ
特に数学的ライブラリの豊富さが魅力!
現在、公開されているWebアプリやネイティブアプリでアルゴリズムを持たない機能はほぼありません。
そのため、機械学習モデルを実装した機能や数学的なアルゴリズムによって表示結果を変化させる機能が必要になります。
Pythonは、データ分析/解析に特化したライブラリが豊富であるため、ライブラリ活用すればWebアプリに対してデータ算出が必要な機能を簡単に実装できます。
Pythonにできること・作れるもの
AI(機械学習)やデータ分析・解析系で注目を集めるプログラミング言語Pythonでできること・作れるものは、主に以下の4つです。
- Webアプリケーション開発
- データ分析・解析
- 機械学習・AI開発
- 組み込み・IoT開発
- ブロックチェーン開発
Webアプリケーション開発
Pythonは、サーバーサイド/バックエンド言語と呼ばれ、Webアプリケーション開発における機能の根幹を構築するために利用されます。
上述した通り、開発で使用される様々な特徴やメリットを考慮して採用されるため、IT業界でもトップクラスの人気度・認知度です。
また、Webアプリ開発でもAI・機械学習モデル搭載の機能を実装する機会が頻繁に増えているため、データサイエンティストに就職&転職希望の人はPythonによるWebアプリケーション開発の学習をお勧めします。
データ分析・解析
データ分析・解析とは、「収集したビッグデータからビジネス活用する」目的で実施する業務です。
顧客データ分析、アンケート・FAQ分析、画像検出・検知、数値データ解析など、あらゆるビジネスシーンで活用されるデータをPythonで有益な情報として抽出します。
Pythonは、pandas、Numpy、SciPy、scikit-learnなどデータ解析用ライブラリが豊富なため、データ分析・解析の領域で最も活躍するプログラミング言語の一つです。
機械学習・AI開発
Pythonは、機械学習・AIシステム開発で頻繁に採用されています。
機械学習・AIモデルによってサービス/アプリケーションのデータベースから学習し、自動的に成長することで精度の高い結果をもたらすよう設計されています。
研究・医学・製造・IT・マーケティング領域など、あらゆるシーンで機械学習・AIシステムは実装されており、データサイエンティストあるいはAIエンジニアを目指す人にとって重要な技術です。
組み込み・IoT開発
Pythonは、組み込み系・IoT・ロボティクスの分野でも活用されています。
特に、機械学習モデルを要する人型ロボットやシステムと相性が良く、組み込み・IoT・ロボティクス分野の企画段階から技術選定でまず挙げられるのがPythonです。
言語コミュニティも活発で、個人開発/チーム開発ともに有益な情報がネット上に多数存在します。
初学者であれば、Raspberry Piからロボット開発を体験するのがおすすめです。
ブロックチェーン開発
ブロックチェーンとは、データの改ざん・盗聴などセキュリティ面で利用される技術です。
Pythonはセキュリティ面に関するコーディングも得意であり、ブロックチェーン技術で利用されています。
FinTech(Finance:金融, Technology:技術)に関わる決済システムや仮想通貨トレードシステム、NFT、メタバース等のセキュリティ関連などにPythonが利用されています。
おすすめのPythonフレームワーク
おすすめのPythonフレームワークは、以下の5つです。
- Django
- Flask
- Bottle
- Tornado
- web2Py
フレームワークの詳細な情報を知りたい人は「フレームワークとは?意味や種類・採用モデルや学習手順を図解解説!」を参考にしてください。
Pythonフレームワーク:Django
Djangoは、Web開発で必要な標準機能を備えたフルスタックフレームワークです。
データベース連携、ログイン・ログアウト認証機能、各種フォーム作成機能、セキュリティ関連機能など、Webアプリ開発に要する各種機能が実装されているため、大規模なWebアプリ開発に適しています。
開発時から機能が豊富であり汎用性が高い反面、学習コストが高いですが、大規模プロジェクトにおける業務委託開発・Web系自社開発企業ともにPythonフレームワークで最も採用率が高いです。
Djangoで開発されたWebサービスで有名なのは、「Instagram」「Pinterest」などが挙げられます。
Pythonフレームワーク:Flask
Flaskは、Web開発で最小限の機能を備えたマイクロフレームワークです。
フルスタックフレームワークと比較して機能が少ないですが軽量でシンプルな設計です。
学習コストが低いのも魅力的で初心者が理解しやすく取り組みやすいです。
個人開発でMoC/PoCなどで利用でき、小規模なWebアプリ開発に適しています。
Pythonフレームワーク:Bottle
BottleもFlask同様、マイクロフレームワークです。
こちらも軽量でシンプルな設計ですが、1ファイルで導入できる手軽さがFlask以上に扱いやすいです。
利用頻度はDjango/Flaskに劣りますが、軽量であるためアクセス速度が担保されており、要件に沿って機能実装すれば本格的なWebアプリ開発が実施できます。
Pythonフレームワーク:Tornado
Tornadoは、同時に複数接続処理が可能な非同期フレームワークです。
非同期通信を可能にするため、データの送受信が合わない場合でも処理が実行できる点が特徴です。
Webアプリ開発においてレスポンスが速い処理は重要であり、数万のオープン接続に拡張できるため、ユーザーの長時間接続が必要なアプリに適しています。
Pythonフレームワーク:web2Py
we2PyはDjango同様、Webアプリ開発に必要な標準機能を備えたフルスタックフレームワークです。
各OSに対応したフレームワークで、脆弱性の問題を事前に防ぐ仕組みであるSQLインジェクションやクロスサイトスクリプトといったセキュリティを重視しています。
web2Pyはデータベース・Webサーバー・API・ライブラリが含まれており、web2PyでWebアプリ開発が完結できるよう設計されています。
Pythonの需要と将来性を考える
求人専門サイトであるdodaで「Python」を検索すると、2022年7月現在で4200件以上(同じサーバーサイド言語Rubyの約2倍)を超える求人であり、求人ボックスでは12,300件以上の結果です。
平均求人数も2021年から2022年にかけて2倍近く上昇しており、注目を集めるプログラミング言語の一つです。
求人ボックスにおける30日以内の求人数から平均年収を割り出すと、「586万円」です。
Pythonは今後も需要が伸びる中で、安定した将来性を担保できるプログラミング言語と言えます。
Pythonの求人数
様々な求人サイトにて、Pythonに関する求人数を確認すると現在の需要と将来性が可視化できます。
Python | Django | |
---|---|---|
indeed | 73,870件 | 5,611件 |
求人ボックス | 49,822件 | 2,903件 |
doda | 5,054件 | 279件 |
マイナビ転職 | 2,832件 | 104件 |
リクナビNEXT | 1,386件 | 63件 |
Green | 4,651件 | 543件 |
2022年7月現在の各転職サイトにおける求人数は「Python全体」で合計135,000件以上あり、「Django」で9,000件以上の結果になりました。
別のサーバサイド言語に比べるとフレームワーク関連の求人数は低い状況ですが、Pythonはデータサイエンス分野である機械学習/DL(ディープラーニング)関連で利用されます。
そのため、フレームワーク関連の活用よりもPythonそのものの活用が多いため、求人数全体は増加傾向にあります。
Pythonの年収レンジ
各転職サイトにて年収レンジにおける求人数を調べました。(2022/07執筆時点)
- 転職サイトは5社を対象とする
- 年収レンジを300, 400, 500, 600, 700~とする
- 年収レンジ299万円以下は除外
- 年収レンジが重複の場合でも各レンジでカウントする
Python | 300~399万円 | 400~499万円 | 500~599万円 | 600~699万円 | 700万円以上 |
---|---|---|---|---|---|
indeed | 13,689件 | 18,755件 | 14,394件 | 11,314件 | 9,501件 |
求人ボックス | 4,513件 | 3,413件 | 3,164件 | 8,772件 | 23,488件 |
doda | 2,030件 | 3,803件 | 4,501件 | 4,531件 | 3,913件 |
マイナビ転職 | 16件 | 78件 | 238件 | 402件 | 1850件 |
Green | 17件 | 83件 | 233件 | 916件 | 3,399件 |
300~399万円、400~499万円、500~599万円、600~699万円の4つの年収レンジでindeedの求人数が最も多いことが分かります。
700万円以上の年収レンジでは求人ボックスが最も多く、登録企業の豊富さで選ぶならindeed、ハイクラス転職を目指すなら求人ボックスといった選択が無難でしょう。
次に、求人総数から各年収レンジ件数の割合を算出し、最適な転職サイトと最も割合が多い年収レンジを導いてみました。
Python | 求人総数 | 300~399万円 | 400~499万円 | 500~599万円 | 600~699万円 | 700万円以上 |
---|---|---|---|---|---|---|
indeed | 67,653件 | 20% | 28% | 21% | 17% | 14% |
求人ボックス | 43,350件 | 10% | 8% | 7% | 20% | 55% |
doda | 18,778件 | 11% | 20% | 24% | 24% | 21% |
マイナビ転職 | 2,584件 | 1% | 3% | 9% | 16% | 71% |
Green | 4,648件 | 1%未満 | 2% | 5% | 20% | 72% |
全サイト | 137,013件 | 15% | 19% | 16% | 19% | 31% |
indeedは400万レンジ、dodaは500万レンジ、求人ボックス/マイナビ転職/Greenは700万以上が割合として求人が多く、全サイト総数の割合も700万以上の求人が最も多い結果になりました。
調査対象だけで考察すると、転職サイトの選び方次第で700万円以上の年収を獲得できる可能性が最も高いことが示唆できます。
- 数多くの求人を探すならindeed
- 総数と年収レンジの割合で最も高く分布数が多いのは700万円以上の求人
- ハイクラス転職が予想されるがPythonによる年収アップの見込みが示唆される
Pythonに関する学習リソース状況
Pythonに関する学習リソース状況も確認することで、現在のエンジニア業界における言語市場の活発性が把握できます。
Python | Django | |
---|---|---|
Qiita | 113,196件 | 7,407件 |
Zenn | 2,741件 | 215件 |
エンジニア学習サイトで有名なQiitaの場合は、「Python全体」で113,000件以上あり、「Django」で7,000件以上の結果でした。
QiitaとZennともにフレームワーク関連情報よりも、圧倒的に機械学習系の情報が多いです。
Python特有のデータサイエンティスト・データアナリストといった職種の特徴が学習リソース状況にも影響を与えています。
そのため、エンジニア・データサイエンス業界における「Python」の市場は活発であることが確認できると思います。
Pythonを習得するおすすめの学習方法
Pythonを習得するおすすめのプログラミング学習方法は、学習動画プラットフォームであるUdemyの活用です。
Pythonの習得におすすめの動画教材を3つピックアップしました。
まとめ – PythonエンジニアはWebアプリ開発+AI領域の案件受注可能
改めてPythonに関する情報をまとめました。
- Pythonは記述性・可読性に優れたプログラミング言語
- Pythonの特徴は、「シンプルコード設計」「オブジェクト指向言語」「スクリプト言語」「ライブラリの豊富さ」
- Pythonにできることは、「Webアプリ開発」「データ分析・解析」「機械学習・AI」「組み込み・IoT開発」「ブロックチェーン開発」
- おすすめのPythonフレームワークは、「Django」「Flask」「Bottle」「Tornado」「web2Py」
- 需要が高く求人増加中のため、将来性と安定が見込める
- Pythonを習得するおすすめのプログラミング学習方法は「Udemy」
今後もエンジニアの就職&転職に関して、プログラミング言語「Python」の採用率が高まると予想されます。
プログラミング未経験であっても動画プラットフォーム「Udemy」などを利用し、これからエンジニアを目指す人には選んで頂きたい言語です。
特に、機械学習・AIエンジニアやデータサイエンティストは企業の採用職種で重宝されるため、希少性の高いエンジニアを目指すのであればPython一択です。
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